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苗たたき


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苗たたき6
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 私は以前輸入関係の仕事に携わっておりましたので、仕事柄2ヶ月に一度は渡航(主に米国・香港)しておりました。20代後半〜30代にかけて80回は渡航しましたので、乗り換え等を含めると、最低でも350回は飛行機に乗ったようです。その中で3回、本当にダメかと思った怖い経験があります。気が付くと、いつの間にか大の飛行機嫌いになっていました。ですから熊本に来る時はJRを利用しています。名古屋から博多までのぞみで3時間20分、博多から在来特急「リレーつばめ」に乗り換えて新八代まで1時間40分、岐阜を早朝に出れば、昼過ぎには八代に到着します。
 今回の植え付け体験は、夏の刈り取りを一緒に行った山形の鏡君と再び一緒にやる事になりました。今回は新八代駅で待ち合わせです。新八代駅に到着すると、降りたホーム向かい側には九州新幹線つばめ(鹿児島中央行き)が停まっていました。800系の新幹線はカッコいいです。2011年の春には博多〜新八代間も開通し、新大阪〜鹿児島中央までが約4時間となり、この乗り入れ新幹線の名称が「さくら」と決まったそうです。博多〜鹿児島中央間も約1時間20分に短縮されるので、ちょうど真ん中の新八代までなら博多から40分位でしょうか。今よりも1時間早くなりそうです。
 改札を出ると、鏡君から電話が。あれっ?電話と同じ声が横からも聞こえてきます。どうも博多から同じ列車に乗ってきたようです。鏡君とは半年ぶりの再会です。


苗たたき7
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 新八代駅構内のうどん屋さんで「いぐさうどん」というメニューを見つけました。早速注文してみましたが、特に変わった味ではありませんでした。こちらではいぐさ弁当とか、いぐさ・・・という食べ物を結構目にします。
 腹ごしらえもしたので、これから今回の植え付け作業に必要な道具を買いに行きます。夏の刈り取りもそうでしたが、大きな長靴をはるばる持ってくるのも大変です。いつも行くホームセンターで、農作業に関する道具は何でも揃います。
 今回必要なのは「地下タビ」と薄手のビニール手袋です。長さが膝まであり、薄く、足首が抜けないタビが良いとの事。探すとありました、その名も「誉」。足首を固定するゴムバンド付きです。ぬかるんだ藺田で活躍してくれそうです。


苗たたき1
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 今回、2泊3日の日程でお世話なる藺草生産農家福本啓治さん宅に到着しました。鏡君は下永辰也さん宅にお世話になります。到着すると早速、株分けの仕事が待っていました。着替えてすぐに工場へ入ります。夕方、鏡君から連絡があり、「石河さん、今から下永さんの畑でたたきをやりますので行きましょう。」
 写真は下永辰也さんです。地元では「カリスマ」「兄貴」と慕われている、見るからに藺草一筋の九州男児です。兄貴はもの静かで独特の雰囲気があります。何度かお会いしているのですが、今回初めて一緒に作業をさせて頂くことになりました。
 下永さんの苗畑に来てみると、私たちの為に一列15mほど苗が残されていました。いつもは予め土を切って苗を掘り起こしやすくするのですが、あえて本来の体験ができるようにと、下永さんの計らいでそのままの状態になっていました。鏡君と一緒にスコップと手で苗を掘り起こします。この苗を本田に植え付けるのです。


苗たたき2
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 土が乾燥していて、苗がしっかりと土に根を下ろしているため、なかなか掘り起こせません。気合を入れて苗をぶっこ抜きます。引き抜いた苗には直径30cm〜40cmの土の塊がしっかりと付いていてかなりの重さです。「畳魂」のTシャツを着て気合は入っているのですが、中腰の態勢で30分もやっていると、段々と腰が痛くなってきました。しかし兄貴も見ていますので、気合を入れ直してひたすらぶっこ抜きます。


苗たたき3
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 ある程度苗を引き抜くと、今度は苗たたき機と呼ばれる機械で根に付いた土を落とします。苗たたき機にはいくつかの爪が付いていて、これが高速で前後に振動します。そこに苗の根の部分を当てて土を粉砕します。しかし重い苗を持っていなければならないので、これが結構こたえます。


苗たたき4
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 片っ端からたたきます。根や新芽の部分に傷を付けないよう、土が落ちたらすぐに機械から離さなければなりません。15mほどの列なのに、かなりの苗の量です。掘り起こした苗に沿って機械を少しずつ移動させてひたすら苗をたたきます。


苗たたき5
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 鏡君もひたすら苗を掘り続けます。私も最初から終わりまでエンジン全開でした。作業を開始して約2時間、ようやく終わりが近づいて来ました。もう辺りは真っ暗でした。
 終わってから鏡君が小さな声で「石河さん、腰にきません?」と聞くので、「かなりくるよ」と言ったら、うなずいていました。どうやら鏡君はこの「苗たたき」を既に今回やったようでした。そこで一疲労していたのでした。なんだ鏡君一言言ってよ、少しはセーブしたのに(笑)。見た目はちょっとした農作業でも、かなりの重労働であることを再認識しました。
 この苗を工場に持ち帰り、今度は植え付けに適した本数に株分けします。これがまた大変な作業です。夜遅くまで、エンドレスな作業が続くのです。


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