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↑ 写真は納品後3年が経過した生粋畳表(備後産)です。頑強な藺草一本一本がしっかりと詰まり、艶のある綺麗な飴色に退色しています。

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●国産畳表について 中国産畳表との違い
国産畳表の見分け方
国産畳表はどれも同じ?
畳店は畳表に詳しい?
「産地仕入れ」の畳店は良い?
「八代産畳表替え3,000円」のチラシ
産地偽装について
●畳店の資格について 畳製作技能士と品質管理責任者
●畳床について ワラ床と建材床
それぞれの特徴と耐久性
●国産畳のお手入れについて 乾拭き
畳干しの方法
デコボコ直し
シミ抜き
ガムの付着
クレヨン・化粧品の汚れ
水溶性インクの汚れ
畳にカビが生えてしまったら
ダニが発生した場合



question-1

answer
大きな違いは、肥料の違い、乾燥の違い、染色の有無ではないかと思います。
【肥料の違い】
sansyou-2肥料には化学肥料と有機肥料があります。化学肥料は主に草丈を伸ばすために「カリウム」に代表される化学成分を与えるものです。一方、堆肥など自然の有機物である有機肥料は、藺草そのものを成長させます。中国産のように、長い草(長い草で織った畳表は単価が高い)を収穫するために化学肥料を中心に与えれば、実入りのない(長いだけで表皮の薄い)藺草になってしまいます。
日本最大の産地である熊本県では、環境に優しい「減農薬」による藺草栽培を推奨しています。除草剤や殺虫剤、化学肥料を減らした有機肥料栽培中心の生産農家を、「エコファ−マ−」として県が認定しています。熊本県産畳表からは残留農薬が検出されないというデータがあります。
【乾燥の違い】
国産の畳表は、60℃前後の低い温度で約16時間ほどかけて乾燥させます。それに対しほとんどの中国産の畳表は、乾燥時間を短縮するために高温で乾燥させています。また原油高騰の影響で、温度管理の難しい石炭による乾燥も多く行われています。その結果、藺草本来の粘りが無くなりカサカサになってしまいます。例えて言えば、干物をゆっくり火であぶると軟らかくなりますが、電子レンジで高温で加熱し過ぎると、短時間でもパリパリに固くなってしまうのと似ています。藺草の繊維が「死んで」いる状態です。触れる度に藺草の端がポロポロ取れてしまいます。しかし国内最大の国産畳表の入札市場では、どこにもそんな藺草のゴミは落ちていません。国産畳表は藺草が「生きて」いる、何よりの証拠です。
中国産の畳表は、船路日本へコンテナで運ばれるので、運搬中のカビ防止等、どうしても乾燥度合いを上げざるを得ない事情もあるようです。
【染色の有無】
sansyou-1やたら青い、青すぎる、人工的な青色、新品の中国産畳表を見るといつもそう思います。確かにここ数年、中国産畳表の完成度は高くなり、見てくれはかなり良くなってきています。消費者の方も、畳店すらも「綺麗な畳表」だなあと思うことでしょう。しかし着色をした畳表は、やはりそれなりの物です。表面が厳つく人工的な綺麗さで、味わいがありません。
また無着色とされている中国産畳表もありますが、泥染めの時に染土に色素を混ぜています。要するに着色している事に変わりはないのです。酷い物になると、日本に輸入されてから表面に塗装を施す商社もあります。これはマラカイトグリーンという青緑色の色素で染色されます。金魚などの病気に対して、水槽に入れるあのブルーの溶液と言えばお分かり頂けるでしょう。殺菌作用があり、着色力が強く安価なために畳の染色にも使用されるのですが、人体に害があるとも報告されています。
一方、国産畳表は無着色です。畳表に付着している染土を落とすと、藺草そのものの色が出てきます。日常生活の中で、畳は一番多く人の体に触れる建築資材です。人に優しい安全な畳表を使用したいものです。

当店は、決して中国産畳表を否定するものではありません。現在の日本の畳需要をすべて国産畳表で賄うのは量的に無理です。価格が安い中国産畳表が、リーズナブルな畳需要を支えているのもまた事実だからです。万全な品質管理の下で製造された中国産畳表であれば、お客様の要望がある場合に限り使用することもあります。

question-2

answer
sansyou-3畳表の藺草を見ての見極めは、一般の方にはまず無理だと思います。しかし熊本県産の畳表には、ちょうど中央部分の縦糸に、「りんどう色」の麻糸、又は「からしりんどう色」の綿糸が「県証糸」として入っています。加えて畳表の端の部分に丸い生産者シールが貼られていたり、ブランド表を証明する印が押されています。また同様に広島県産の備後畳表には、備後証紙が織り込まれています。ですからお客様の部屋の畳を持ち上げれば、確認することもできます。当店では、それらを畳の框部分に一緒に縫い付けて、できる限り情報を畳に残して納品するようにしています。

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国産畳表は使うほどに違いが出てきます。黒く変色する藺草が多い中国産畳表とは異なり、国産畳表は選別によって黒く変色する藺草がほとんど使われていません。最も大きな違いは、藺草の表皮が厚く草に柔らかみがあるために数年経過しても藺草の表皮がささくれて粉になりにくく、奇麗な飴色に退色して艶のある畳表に変化して行くことです。

question-4

answer
同じ国産畳表でも、藺草の品種、長さ、織り込み本数や品位によって異なります。一番安い国産畳表と一番高い国産畳表とでは、素材の単価に約20倍の差があります。
【品種の違い】
10年程前までは、藺草の品種は数種類(現在、在来種と呼ばれている)でした。しかし熊本県が10年の歳月をかけて開発・育成し2001年に品種登録した「ひのみどり」は、
1. 茎が細いので畳表をきめ細かく製織できる。
2. 着花が非常に少ないので不良藺草が少ない。
3. 先枯れ、元白が短いので、畳の両端の縁の近辺でも色むらが少なく、黒く変色する藺草が少ない。
などの畳表に非常に適した性質を持つ藺草品種です。品位があり、熊本県産のブランド畳表(ひのさらさ・ひのさくら・ひのさやか)にもなっています。現在ではほとんどの農家がこのひのみどりを専門に栽培するようになりました。
ひのみどり以外の品種である在来種は、備後表に使われる「せとなみ」や、熊本で品種改良された「夕凪」(ゆうなぎ)などがあります。在来種はひのみどりよりも草径が太く、表皮も厚い藺草です。擦れや摩耗に強い畳表になります。
【縦糸の違い】
畳表のランクはまずこの縦糸で異なります。一部が下の写真にもあるように、安い畳表から綿糸S(シングル)、綿糸のW(二重)、麻糸、麻綿のW、麻二本芯という順で高くなります。縦糸が丈夫である程、織機で藺草を多く詰めて織り込む事ができるからです。麻二本芯で織られた最上級の畳表には、畳の目に立体感があり高級な畳の証とされています。
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【長さの違い】
一般的に長い藺草を使ったものが美しい畳表に仕上がります。つまり長い藺草ほど根元と先端を除いた、より中央に近い良質な部分を多く使用できるからです。
藺草の選別の時に一番長い藺草から2寸ずつ順番に分けて行きます。一番長い藺草を一番抜き・一番毛と呼びます。生産農家によっても異なりますが、長い藺草を収穫できる農家は、8番毛まで選別します。一番毛と8番毛では、2寸×7の1尺4寸(約43cm)の草丈の違いがあるわけです。そして短い藺草は普及品(綿糸S)に、長い藺草は高級品(麻綿W以上)に使われます。特に本間(京間)用の「ひのさらさ」は、熊本800軒の全藺草生産農家の中でもほんの一握りの農家でしか製織されません。長く実入りの良い藺草を収穫するには、かなりの経験・土壌・栽培技術などが揃っていなければ無理だからです。
【品位の違い】
長さの選り分けを行った藺草は、次に選別機にかけられます。畳表になった時にちょうど畳縁の辺りになる部分の色合いを、機械のセンサーでチェックします。そして黒い変色の原因となる赤藺草を、選別機で選り落とします。この選別ではねられた藺草は「選り端」と呼ばれ、短いものは処分されます。そのため藺田に生えているすべての藺草が畳表に使用できるわけではなく、数十パーセントもの栽培ロスが生じてくるのです。
また根白と言って、藺草の根に近い部分はどうしても色合いが異なるので、畳表に製織してからランクが決まります。農産物である藺草の状態は毎年異なるので、生産農家も大変です。
ひのさらさに代表される国産ブランド畳表は、色合いの均一性、藺草の揃い、表面の風貌など、国産畳表の中でも高い品位を備えていると言えます。

question-3

answer
答えはノーだと思います。確かに畳店は日常畳表を見ていますので、中国産と国産畳表の違いはそれなりに体感できることと思います。しかしそれは自ら材料を手配しているのですから、どんな畳表なのか分かっていて当然です。しかし国産畳表には生産者シールが貼られていたり、中国産の包みに入っているから区別が付くというのが正直な所ではないでしょうか。もしその畳表に何の印や表記も無かったとしたら、それがどんな畳表か区別できる畳店はまず少ないと思います。もし偽の表記(中国産なのに国産の生産者シールが貼られている等)があったとしたら、それに違和感を感じる畳店がどれだけいるかどうか。これは産地偽装を撲滅するためにも、私たち畳店が畳表を「見る目」を養わなければならない必要性を強く感じます。私たち畳店のプロが、前項にあるような色の付いた縦糸を探してこれは国産だと認識しているようでは、もし中国産畳表に青色の縦糸が入っていたらどうでしょうか。国産畳表になってしまいます。(実際にある話です)
仮に何の表記のない畳表でも、当店ではどの品種でどこの生産地の畳表なのかを、藺草を見て判別できる経験を積んでいます。まだ新品の畳表なら分かりやすい方です。お客様の畳に付いている何年も経過して変色した古い畳表となると、相当に経験を積まなければどの品種でどこの生産地の畳表なのかを判別することはできないと思います。
「畳店は加工業であり、材料を仕入れてお客さんの畳を張り替えれば良い。」というのも正論です。しかし当店では、まず「自分が納得できる畳表を仕入れてからお客さんに施工する」というこだわりを持ち続けています。良い畳、良い仕事は最高の材料からというポリシーは、創業以来190年間変わっていません。お客様が見極めるのが難しい素材だからこそ、誰に何と言われても、当店はとことん良質な国産畳表にこだわります。

question-6

answer
熊本県産や広島県産の国産畳表は、一般的には生産農家→産地問屋→全国の消費問屋→畳店というルートで流通します。つまり消費問屋さんが取り扱う畳表は、すべて産地から届いたものです。
sansyou-7ですから「当店は産地まで出向いて材料を仕入れています」という畳店があるとすれば、言い換えれば「このコーラは、熊本県八代市のコンビニへ行って直接買ってきたコーラです」と言っているのと同じ事です。仕入れ代金はコーラ100円+交通費4万円也で、ちっとも安くありません。100本買っても一本400円も高い計算です。
良い畳表の流通する市場などは、入札資格のある産地問屋しか取引が出来ません。私設市場など、直接安く仕入れられる所もあるかもしれませんが、市場をなめてはいけません。蛇の道は蛇と言いますが、水面下では色々問題のある製品も流通しています。庭先買い(生産農家から直接分けてもらう)にしても、何せ相手は畳表のプロです。製品の良し悪しや畳表相場の分からないような畳店が行っても話になりません。「違うよ、うちは産地の問屋から直接送ってもらっているんだよ」という事であれば、それもどうかと思います。実際に自分の目で畳表を見てから仕入れる、これはとても重要な事だからです。ある意味、消費地の信頼ある問屋さんの方が、ちゃんとした物が入手できます。
私は産地での様々な体験を通して、少しでも畳表という素材を知る事ができたらと考えているのですが、それでもまだ全然探求が足りません。生産農家のちょっとした作業にも深い意味があったり、身を削るような重労働があったり、そういう過程を経て初めて「畳表」が出来上がります。それは本当に奥の深いものです。最近、産地での苛酷な作業を何度か体験して、「産地という言葉は軽々しく使うものではない」と私自身そう思うようになりました。ですからなおのこと、とても産地・藺草・畳表に詳しいとは思えない畳店が、「産地仕入れ」などという宣伝文句は使わない方が無難です。必ずボロが出てきます。
これは私の個人的な考えですが、そういった文句を宣伝に使うのであれば、たとえ一日でも良いですから産地での夏の刈り取りを一度体験してみて下さい。少なくとも私の知る限り、産地の事を知りたい・一から畳表の事を学びたいと思って産地に出向いている畳店の方は、全国でもごく僅かです。
産地でしか入手できない特別な畳表があったり、魚介類のように鮮度の問題があるわけではないので、畳表に関しては、「産地仕入れ」のメリットはあまりありません。産地仕入れであろうとなかろうと、お客様に取って何ら変わりはないと思って頂いて結構だと思います。あくまで重要な事は、畳表の質一点に尽きます。

question-7

answer
当店の所在する岐阜市でも、近県にある2〜3社の「安売りチラシ」業者の広告が入ります。最初に断っておきますが、当店はこのような業者にはまったく興味がありません。何故ならば、過去に幾度となくお客様からクレーム相談を受けた経緯があり、その実態(使用素材、商売のやり方、施工の程度)から判断をしても、(大変失礼ではありますが)とても畳店と呼べる業者ではないと思っているからです。
畳表の張り替えをどれだけ安くして行おうが、それで経営が成り立つのであれば良いと思います。製品を安く施工するというのは一つの商法ですし、企業努力の賜物かも知れません。また消費者も安いのは大歓迎です。しかし実際には、客寄せの為に広告上で商品の説明を曖昧に行い、国産畳の適正な価格についての誤解を消費者に与えているのです。

【「八代産畳表替え3,000円」に使用する畳表とは一体どんな素材なのか?】
sansyou-6安売りチラシには「八代産畳表替え3,000円」という記載がありますが、Q.国産畳表ならどれも同じ?の冒頭で説明したように、正規の市場で流通している国産畳表でさえ、一番安い物と一番高い物には約20倍近い価格差があります。しかしそれだけではないのです。【品位の違い】で説明した、捨てられるような「選り端」や収穫時に藺田で燃やされる藺殻(短い藺草、右写真)を、農家からタダ同然で仕入れて製織する業者も存在するのです。これらは藺草の「ゴミ」であり、畳表になるような藺草ではありません。この藺草を織って「八代産畳表」として販売したらどうでしょうか?八代産には違いないです。
もし正規の国産畳表であるならば、必ず生産者がいます。畳表には生産者シールが貼られています。堂々と「藺草生産農家○○さんが織った、ひのみどりの糸引き畳表」という説明ができるはずです。こういった表記がチラシ上にあり、欲を言えば畳表の写真も掲載されていれば、どれだけ安い価格で広告しても、何ら問題のないことだと思います。

畳表という素材は、消費者(ある意味畳店も含む)の方に分かりづらい素材です。これは今までの私たち畳店の、消費者に対する畳素材のPR不足も原因なのかも知れません。
しかし、何らかの方法で、「チラシ業者の実態を消費者の皆さんに伝えなければいけない」という考えは常々抱いておりました。岐阜県の畳組合でも、最近になってやっと問題視する声が出てきました。
そこであくまでも当店としての認識を、そして対処方法をお伝えしたいと思います。これを読んだ消費者の皆さんが、間違った畳業者選びをされないようにして頂けたらと思います。
(当HPの著作権は当社に帰属します)

【釣り上げ商法】
端的に言うと、広告に出している安価な畳表替え工事など、最初から請けるつもりがないということです。安いと思って消費者の方が電話をかける、という最初の一歩を獲得する手段でしかありません。そして実際に電話をかけたお客様の所に上がり込み、次のような様々な方法で値段の高い畳替えを勧めます。
■ この商品(安価な畳替え)は先着○○名様限定で、残念ながら終わってしまいました。
「終わってしまったのなら仕方がない、次の機会にする」とはっきり言いましょう。私は1帖3,000円ポッキリで、それ以上のお金を払って畳表替えをする意思はないと。
■ 3種類くらいの見本を見せ、広告の畳表はこれ(最悪な見本を見せる)ですが、皆さん真中のランクにされます。と言って次のグレードを勧めるものの、次のランクになると、値段がいきなり10,000円〜15,000円のランク(同じ材料であれば、地元の畳店の方が安い)に飛んでしまいます。しかし消費者の方も、当初考えていた値段よりかなり高くなってしまうけれど、業者を家にまで呼んでしまったことだし、「どうせ替えるのだからまあいいか」という気持ちになってしまう。
いえ、そんな気持ちになってはいけません。私は1帖3,000円ポッキリで、八代産の畳表替えができることに魅力を感じて電話したのだ。それ以上かかるのであれば、「昔から付き合いのある、近所の一級技能士の畳店に聞いてみる」と言うのも良い対応です。重要な事は、値段の釣り上げに応じないことです。
■ 2階だから、3階だからという理由で、1帖に付き1階毎に500円前後の料金を割増する。
お部屋が2階や3階以上にある場合は、最初に値段を確認しておく必要があります。家に来てもらった時にすぐに契約するのではなく、見積書を書いてもらうのが一番です。そうすれば後から割増される事を防げます。ちなみに当店の所在する岐阜市の畳組合加盟店では、一般の住宅を施工する場合、運搬料金という項目で料金を割増する畳店はありません。1階でも3階でも同じ料金です。(1階の方が楽なことは言うまでもありませんが)
■ 畳縁は別料金ですからと言って、1帖に付き500円〜1,000円前後の畳縁料金を上乗せする。
一般に畳表替えというのは、畳表と縁を新品に交換するものです。従って畳店が最初に見せる縁見本にあるものでしたら、当然表替え料金の中に入っています。しかしこういう所につけ込まれてもいけませんので、やはり見積書を書いてもらうのが一番です。そうすれば後から割増される事を防げます。
ちなみに当店の所在する岐阜市の畳組合加盟店では、別途畳縁料金という項目で料金を割増する畳店は一切ありません。
■ 畳に柱等の切り込み形状があるので、1ケ所に付き○,000円の料金を割増する。
鉄筋住宅にある和室の場合、どうしても部屋に柱の凸凹ができます。畳の大きさや厚み・形状等は、ケースバイケースで異なって当然です。しかし、やはり見積書を書いてもらうのが一番です。そうすれば後から割増される事を防げます。
ちなみに当店の所在する岐阜市の畳組合加盟店では、別途切りこみ料金という項目で料金を割増する畳店は一切ありません。
【ダメ出し商法】
キャンペーンの安価な畳張り替えを依頼して来てもらったのに、少し畳床が古そうだと、この畳床はもうダメです、新しく畳を製作しなければなりません。と言って新畳しか施工できないと言ってきます。その新畳の価格は健康畳等という文言で和紙畳表を使い1帖25,000円位のようです。
当店であれば、熊本産ひのさらさを使い、ワラ床を使用した新畳の価格に相当します。
当店の近所の方で、実際に「表替えができないのなら結構。」と言って、はっきり断った老人の方がいらっしゃいます。「その内に虫がわきます」とも言われ、まだ注文したわけでもないのに、古畳処分を前提として畳の表面にマジックで何か書かれたそうです。それでも追い払ったのですから立派です。意思が強固であれば、相手は必ず折れます。何故ならば、こちらの言っている事が正論だからです。
【実力行使】
納品時に、割増した代金に対してクレームを言った所、「代金を払ってもらえないのなら、新しく交換した畳表や縁をその場で剥がして持って帰る」と言われ、渋々支払ったというケースもあります。非常識な事を言うものです。ですから前述したように、予め畳工事の契約をする前に、見積書を取っておく事を強くお薦めします。

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冒頭でも言いました通り、街の畳屋さんが10,000円で行う国産畳の表替えを本当に3,000円で施工する業者がいるのであれば、それはすごいことです。私は畳店ですが、自分の家を真っ先に施工してもらいます。しかし実態は真逆で、街の畳屋さんが10,000円で行う畳表替えを15,000円で行っているのです。
チラシ業者は、数10kmも離れた他県にまで広告を配布しています。車で片道1〜2時間(時間ロス)もかかる遠く離れたお宅の、4.5帖の表替えを1帖3,000円で行うわけです。私たちが畳替えを行う場合、畳の引き上げと納品の最低2回はお客様のお宅を往復(交通費)しなければなりません。工場に持ち帰っての作業(人件費)もあります。もちろん畳表や縁などの材料代もかかります。そして畳機械の焼却費、毎月配布するチラシの広告代等を含めると、こんな安価な畳替えばかり行っていては、経営が成り立つはずがありません。
価格での「安売りチラシ」業者には営業専門職がいる場合もあります。つまり電話をかけてきたお客様の所に出向き、商談を成立させてくるわけです。しかし彼らの給料は、オール歩合給に近いもので、チラシの安価な畳表替えの契約を取っても、歩合はゼロだそうです。しかしその営業マンが月に100万円近く稼ぐというのですから、結果的に、消費者の方がいかにチラシ価格とかけ離れた、高い価格で契約をしているかが分かります。皆さん、最初は2,700円とか3,000円という考えで電話をしているはずなんです。安い畳にはワケがあります。
想定されるトラブルを回避するためにも、必ず最初に近所の畳店からも見積もりをもらいましょう。そして必ず比べて見て下さい。そして両店から見本を見せてもらい、価格・材質で納得のいく店で頼めば良いのではないでしょうか。前述したようなやり口の業者であれば、2回目からは皆さん二度と頼まないと思います。しかし最初の1回を防ぐことが難しいのです。ですからあえてこのQ&Aで取り上げさせて頂きました。くれぐれも商談を急がないことです。組合加盟店などの信頼できる畳店が近くにあるかどうか、予め調べておきましょう。
「安くても国産畳表ならいい。」価格第一で注文される方なら、それはそれで良いと思います。ただ、上記のような割増料金にはくれぐれも注意して下さい。その代わりこの「八代産畳表替え3,000円」がまともな畳表を使っていないとしても、決して文句は言えません。

sansyou-8右写真は、有志で作る「岐阜畳向上塾三四五会」が過去に行ったキャンペーンチラシの一部です。
同じチラシでも、くまもと国産畳表替えが3,000円などではありません。8,400円(ひのさやか)と12,600円(ひのさくら)です。皆さん高いと感じられますか?
くまもと屈指の生産者である早川猛(農林水産大臣賞受賞者)さんの、藺草が密に打ち込まれたすばらしい畳表です。釣り上げ商法で結果的に高い代金を支払うより、最初から本品のような本当のお値打ちキャンペーンを選ばれた方が、はっきり言って得です。物が違います。

question-8

answer
残念ながら無いとはいえないようです。
畳店は信頼できる問屋さんから仕入れた材料であれば別ですが、届けられた畳表がどういう経路を辿っているのかを詳しく把握できません。仮に流通の段階で、中国産畳表が国産畳表というタグを貼られて紛れ込んだとしても、ほとんどの畳店は貼られたタグを信頼するでしょう。畳表や藺草を見て「これは国産の畳表ではない、おかしい。」と感じる事のできる畳店はほとんど無いと思います。
つまり畳店も材料問屋も知らなかったというケースがあるかもしれません。国産畳表には、前述したようなシールやタグが付いています。できればJAの市場から流通した畳表なら間違いないと思います。消費者の方は、その辺りの事情を畳店に詳しく聞かれることをご提案します。
関東地方で付加価値の高いびんご畳表は、福山地方で収穫される地草を使用していない(熊本産原草を広島に運んで製織した)畳表もびんご畳表という名称で呼ばれています。畳店はその違いを消費者の方に説明しなければなりません。

question-20

answer
【畳製作一級技能士】
lisence技能士とは、厚生労働省が所轄する労働技能の国家資格です。現在では幅広い職種に技能士資格があります。畳製作では一級と二級があり、それぞれ試験の内容が異なります。
一級技能士は、10年以上の畳製作の経験を持ち、板入れ手縫い畳・床の間の製作および敷き込みを規定時間に行うという実技試験、そして学科試験に合格すると与えられます。
最近では、畳を手縫いして製作するということはほとんどしなくなりました。機械の普及により、全国どの畳店でも99%以上が機械縫いだと思います。一級技能士の資格がなくても、機械の操作さえできれば畳を製作する事は可能かもしれません。しかし「畳製作」というものを会得するためには、どうしても昔から行われてきた手縫い製作を自らが行えなければなりません。一部の特殊な畳は、手縫いしか仕上げられないものもあります。「オートマ車なら運転出来るけど、ギヤチェンジ車はちょっと運転できない」という人が、果たして車販売業ができるでしょうか?それと同じだと思います。
現実に、一級技能士という資格を所持していない畳店経営者・畳職人もいらっしゃいます。「技能士資格の必要性を感じない」又は「一から畳製作を学ぼうという意欲がない」このどちらかでしょう。一級技能士の資格は、建設業の許可などのように「畳店」に与えられるものではなく、畳製作に従事する「個々の人間」が取得する資格です。つまり畳製作に従事する人間が複数いる畳店であれば、「全員が畳製作一級技能士または二級技能士を取得する、もしくは取得を目指す」べきです。そうでないと「技能士資格を持たない、技術のない職人が畳を作っている」と言われても仕方ありません。
私が消費者なら、同じお金を払って施工を頼むのですから、畳製作一級技能士の資格を持った畳店または畳職人に畳替えを依頼します。他の職種では「特級技能士」がありますが、畳製作では一級技能士までしかありませんので、早く特級を増設して頂きたいものです。
【品質管理責任者】
JISやISO規格で知られる財団法人日本規格協会全日本畳事業協同組合が主催する、畳専門の品質管理責任者認定制度です。3日間の受講と試験に合格すると与えられます。お客様に納品する畳の品質管理をより強化するためのセミナーです。そして品質管理責任者のみが「畳品質表示書」を裏側に貼付することができます。最近、この畳品質表示書の貼付がなければ納品できないという地方自治体が増えています。
品質表示書
以上これら二つの資格を持ち、地域に密着した顔の見える畳店であれば、消費者の方が安心して畳替えを依頼できると思います。
気を付けなければいけないのは、安価な値段を提示するチラシ業者でしょう。度々店名が変わり、畳製作に従事する複数の人間がいるにも拘わらず、責任者なり資格保持者の存在が不透明な業者です。発注される前に、どうか畳店に遠慮なく「技能士の資格を見せて頂けますか?」と聞いてみて下さい。資格を所持する畳職人なら、上の写真のようなライセンスカードを快く見せてくれるはずです。
しかしながらこれらの資格は、畳店・畳職人として最低限の資格であり、それ以外に畳製作について学ぶべき事はもっと多い、と私は思います。

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畳表の製織農家は、雨の日には織機を動かしません。空気中の湿気で、織り始めと終わりの畳表の色が変わるからです。ですから変色という観点では、水分は畳に良くありません。当社では納品前の水拭きは厳禁としています。特に梅雨時など、余計な水分はカビのもとになります。お掃除される場合は掃除機がけと乾拭きが基本で、市販の不織布モップが便利です。
こだわりのお手入れ方法があります。それは米ぬか拭きです。掃除機を畳の目に沿ってかけた後、木綿布に包んだ米ぬかで拭いてみて下さい。米ぬかの油が浸み込み、艶があり汚れにくい美しい畳に仕上がります。

question-12

answer
畳を干すことで、最高に気持ち良くご使用いただけます。畳同士の間にマイナスドライバー等を入れ、てこの応用で注意深く畳を持ちあげます。その下に空き缶等をつっかえ棒にして窓を開けておくだけで、畳の下の湿気がなくなり畳が長持ちします。但し、天気の良いさわやかな日に行って下さい。

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家具等で畳の表面にデコボコができた時は、タオルとアイロンを用意して下さい。硬く絞ったタオルをかぶせ、上からスチームアイロンをかけると元に近い状態まで復元します。重い家具等を畳の上に置かないようにすることが好ましいですが、置く場合には板の上に乗せるなどして直接置かないようにしましょう。
畳は呼吸しています。一年を通して、適度に部屋の湿気を吸収・放出しています。畳の上にカーペットなどを敷くと、これをを妨げカビの原因となります。畳の上には敷物をしかないようにするのがベターです。

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コーヒー・茶・ジュース・酒・醤油・ソースなどがこぼれた時は、すぐにタオルやペーパー等で吸い取り食塩をかけます。食塩が湿ってきたら、歯ブラシ等で畳の目に沿ってこすり、食塩を拭きとって下さい。色が染みている場合は漂白剤をつけて軽く擦り、硬く絞った布で拭き取ります。その後、水拭き・乾拭きを十分に行って下さい。

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シンナーかベンジンを布に浸して拭き取ります。ガムが畳の目に詰まっている時は、布の上からアイロンを当てて柔らかくしてから拭き取ります。

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住まいの洗剤を歯ブラシに付けて、畳の目に沿って軽く擦って落とします。その後、水拭き・乾拭きをして下さい。

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ペーパーなどで吸い取り、牛乳を浸した布で拭き取ります。その後、水拭き・乾拭きを繰り返して下さい。

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まず、乾燥させることが一番です。窓を開けて換気、もしくは除湿機やエアコンのドライ機能などでお部屋の除湿をします。乾いてから掃除機でカビを吸い取り、消毒用アルコールを染み込ませた布で畳を拭いて下さい。その後もよく乾燥させましょう。

question-19

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畳の目に沿って掃除機をゆっくり何度もかけてください。そして部屋の風通しをよくしましょう。ダニは夜行性なので、1時間程度部屋を暗くしておいてから掃除機をかけると効果的です。その後も部屋の換気、小まめなお掃除を心掛けて下さい。


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