お問い合わせ QandA 会社案内 リンク トップ
畳の探究トップ


産地を訪れた記録


植え付け2日目
スペース

本物に出会うため、福山へ。
伝統の備後畳表は幻となってしまうのか。(2011/08/01)

>> 続きを見る


植え付け2日目
スペース

C 「植え付け2日目」

>> 続きを見る


植え付け1日目
スペース

B 「植え付け1日目」

>> 続きを見る


株分け作業
スペース

A 「株分け」(植え付けの単位に苗を割る)

>> 続きを見る


苗たたき
スペース

藺草生産農家福本啓治さん、下永辰也さんの所で、株分け〜植え付けまでの作業を体験してきました。(2009/12/4〜6)
@「苗叩き」(苗の土を取る )
>> 続きを見る


網外し
スペース

B 「網外し」

>> 続きを見る


刈り取り・泥染め
スペース

A 「刈り取り」「泥染め」

>> 続きを見る


釜出し作業
スペース

藺草生産農家吉住忍さんの所で、刈り取り〜泥染め〜乾燥〜保管までの作業を体験してきました。(2009/07/17〜19)
@「釜出し」(藺草を乾燥させて保管する )
>> 続きを見る


国産100%の証、3点セット
スペース

産地偽装も絶対に真似ができない
国産100%の証となる3点セット


農林水産大臣賞受賞表
スペース

その年のNO.1の畳表を決める品評会
最高作品には農林水産大臣賞が贈られます。


JAやつしろの印
スペース

JAで畳表に押される最高ランク「ひのさらさ」と「極」
くまもと800戸の全イ草生産農家の目標です。


谷川隆生
スペース

やつしろ畳表の番人
JAやつしろ千丁町支所 谷川隆生さん

>> 続きを見る


千丁町支所
スペース

くまもと産地で最高の畳表が集まる入札市場
JAやつしろ千丁町支所を訪ねました。(2008/10/23〜24)

>> 続きを見る


びんご産地品評会
スペース

伝統の高級品「びんご畳表」
年に一度JA熊野で品評会が行われます。(2006/10/06)

>> 続きを見る



畳道を究めるために避けて通れないものがある

藺草の植え付け(八代市千丁町太牟田 藺草生産農家福本啓治さんの藺田にて/06.Dec.2009)

daimei-1
 私は岐阜市で代々畳店を営む6代目として生まれ育ちました。今まで6代目という方には、岐阜県ではお会いした事がありませんので、老舗なんだなあと思います。そして小さな店ながら190年間続いてきたという歴史が、私の大きな心の支えとなっています。同時に、家業を継承するのが遅かったということもあり、プレッシャーや焦りもありました。
石河製畳店五代目  五代目(父)は今でも現役です。回収してきた畳から取外した古表に触れながら、「これは岡山の草や」とか「備後の長引やな」、「人吉(以前に栄えた熊本産地「球磨」)の草は良かったなあ」と、独り言のように言います。
 いくら畳一筋で60年以上とは言え、なぜぱっと見ただけで岡山だ人吉だと簡単に分かるのか、とても不思議でした。そういう事が分かる父をある意味カッコいいと感じたこと、多分私が畳表に興味を抱くようになった理由はそんな単純な理由からだったと思います。
そしていつか自分もそんな会話を父と対等にできる、いや父以上の「目利き」になってやるぞ、と強く思ったことを覚えています。


 「畳表について勉強したい。」私はある知り合いの畳店主に話したことがありました。
しかし「どんな材料を使うかなんて関係ないよ。お客さんと予算の相談をして、それに見合った材料を使えば良いのだから。」「畳店はあくまでも加工業、材料云々は問屋の仕事領域。素材に詳しくなくても商売はできるし、畳表のランクは問屋から購入する値段の順だよ。」と言われました。
ある意味、正解かもしれません。余分な事に費やす時間があるくらいなら、仕事を見つけてくることの方が大事かもしれません。
 しかしせっかく自分が選んだ畳道、私は父のように畳表の良し悪しが、自分の基準(目)で判別でき、お客さんに自信を持って良い畳を販売できるようになりたいと思いました。畳表を見る目がない職人に、良い畳を作ることはできません。しかしその「目」を養うためには、1枚でも多くの畳表を見るしか他に方法がありません。本で読んだり人に聞いて分かるものではないからです。

品評会で出品された畳表を見る
 よくよく考えて見ると、一度にたくさん並べられた中から良いものを選ぶというのならまだしも、ズバリそのものだけを見て、天然の農産物である畳表の良し悪しを見極めることなど、かなり難しいことです。農家でもない自分には無理ではないかと。
 しかしふと、一つだけその方法があることを思いつきます。まず自分の目の中に、絶対的な指標となる畳表を焼き付けます。その指標となる畳表とは、日本一の畳表です。目の前の畳表を、絶えず、自分の目に焼き付けた日本一の畳表と比べる。昔から五代目が、「良いもの(材料)を使った仕事をしないと、職人の腕はあがらん。」と何度も言っていましたが、何か共通しているものを感じました。


 日本一の畳表を見るためには、産地の品評会に行かなくてはなりません。毎年秋に八代(熊本)と福山(広島)で品評会が行われます。しかし産地など自分には何のコネクションもありませんでした。かと言って、いつも自店がお世話になっている地元の材料商さんに紹介を頼むのも、何か五代目の力を借りるようで嫌でした。「よし、一から始めるぞ。俺は自分で産地との関係を作る。」
 26才の時に自分で輸入会社を起こした時、単身で渡米し9社と日本での代理店契約を締結させた経験がありました。知らない領域に飛び込むことには、何のためらいもありません。品評会に何度か足を運び、出品された畳表をじーっと何時間も見て回りました。品評会には、それぞれの生産者が織った最高の畳表が出品されます。その様は圧巻でした。
 「おっ、岐阜の畳屋さん、今年も来たんかい。どうや今年の草は、去年の方がいいやろ。」何度か行く内に、声をかけてもらえることも。涙が出るほどうれしかった。その頃は、朝から晩まで頭の中に品評会で見た畳表の残像が残っている状態でした。


 その甲斐あってか、この数年間で飛躍的に見る目が付いたと思います。不思議なもので、古畳についているゴザでもどんな畳表か見えてくるのです。「この藺草は熊本の在来種です。国産の畳表だから20年もったんですよ。」と自信を持ってお客さん宅でも話ができていました。畳職人である以上、中国産か国産か程度の区別は最低限できなければならないと思います。私の経験では、熊本の畳表(在来種)と岡山の畳表の区別が付けば、その畳職人はそれなりの見る目がある方だと思います。
刈り取り直前の藺田 しかし、それでもまだ不安がありました。胸の中にすっきりしない何かが漂っていました。
 その頃です。完成した畳表ばかりを見てきた自分に、ふと気付いたのです。草からできていることを完全に忘れていました。
 「そうか農産物なんだ畳表は。天然の草からできているんだ。」
そう言えば、田んぼに生えているイ草はくにゃくにゃなのに、どうしてあのパシッとした畳表になるのか? 今までそんなことを考えたこともありませんでした。分かっているようで、実は分かっていない。

農作業の合間に千丁の空を見上げた
 私の中で畳表という存在が、天然の草からいきなり畳表という最終形に飛んでしまっていたのです。その間は空白で、イ草がどのようにして畳表になるのかという細かな過程が体感的に分かっていない。例えて言えば、このスパゲッティは美味しいと言っている料理評論家が、どんな調味料や隠し味が加えられているのかを見抜けないようなものです。料理評論家として論評する以前の問題です。これが自分に欠けている。
 以降、私の探究の旅が始まりました。私の性格は「とことん」「気がすむまで」「究めるまで」やるB型。い草の植え付けから畳表ができるまでを、すべて自分の体で見て触れて体験しようと決めました。必ず自分に得るものがあると確信します。
 そのことを五代目に話すと、「客人で行くのなら邪魔になるだけ。向こうで農家の人と同じ生活を送らなきゃ意味がない。」ときつく言われました。まったくその通りです。
 生粋(きっすい)の国産畳にふさわしい畳表を織っている生産者の方との、新しい出会いも待っていることでしょう。当分は産地通いが続きそうです。そしていつか、師でありまた最大のライバルでもある、五代目の「目」を超えなければと思っています。

石河製畳店 有限会社アールエフインクワイアリー
代表取締役 石河恒夫

生産者の方々 六代目ブログ 畳表の張り替え 縁なし畳 施工例 岐阜畳向上塾三四五会

畳‐岐阜ドットコム 有限会社 石河製畳店
 〒500-8066 岐阜市下太田町3番地 PHONE. 058-262-1615 FAX. 058-262-1628