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 植え付け2日目、朝7時前に藺田に到着しました。九州は夜明けが遅いので、辺りはかなり暗いです。左写真は反対側から見た朝の状態です。まだ70%が残っています。これを今日中に完了させなければなりません。
 今日は総勢7人。藺田に着くや否や、皆さんすぐに植え付けを始められました。私は昨日、何度も周回遅れを味わいましたので、鏡君の次の最後尾に入ります。やはり早い人から行った方がスムースに植え付けができます。
 するべき事は分かっています。100mを2本です。さあ、今日もやるぞ!


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 昨日に比べると、慣れてきたのが分かります。1・2・3・4という感じで、1箇所を約1秒で植える事ができるようになりました。植えると言うよりも、左手で持つ束からそのまま右手で滑らす感じです。
 藺田の状態ですが、プスッという感じで苗を持つ手が土に入ります。できるだけ垂直に、しっかり立つように植えて行きます。こんな一握りの苗から、数百本の株が出てくるのですから、藺草にはすごい生命力があります。


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 半分を過ぎた所で、もう左側に人が来ました。森野さんです。ここ千丁町で植え付けの速さ1・2を争う、植え付けのプロフェッショナルです。つまり八代で最高に速い人なのです。その速さに、しばし見とれてしまいました。右手で滑らせて植える時に、同時に左手で持っている苗をさばいておられます。その速さ、1秒間に2箇所です。速い正確なリズムが、いつまでも続きます。おそらく私の3倍以上のスピードです。弟の利明さんは、藺草生産農家をされています。恐るべし名人芸に脱帽しました。


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 後ろに下がる時、足が抜けないのでひっくり返りそうになります。そして腰の痛みに耐えながら、時には気合を入れながら、ただ淡々と同じ動作を繰り返します。最近ではポット苗といって、予め箱にセットした苗を機械で植え付ける方法も普及しています。しかしこの「手植え」こそ、昔から行われてきた藺草栽培の原点だと言えます。いつも当たり前のように表替えに使用している畳表ですが、植え付けだけでもこんな大変な農作業なのです。この藺草が畳表になるまでには、気が遠くなるような「人の手」が加わっているのです。だからこそ、あのすばらしい畳表になるのだと思いました。
 開始から約2時間、ようやく最初の100mが終わりました。体の至る所が、悲鳴を上げています。「痛い!」


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 さあ、最後の一本(100m)です。長く休憩するとダメなので、勢いで再び藺田に入ります。そしてまた自分との戦いに臨みます。

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 今回、二日間の「植え付け」作業を通じて、畳表というものが、人の手によって作られているのだという事を改めて実感しました。畳表は織機で簡単に織ることができるというのは大きな間違いです。そのパートは、一年の過程の中のほんの僅かな部分に過ぎません。
 人の汗、人の気持ち、人のこだわりというものが、この藺草の植え付けの段階から畳表に注がれています。これから先、一枚一枚の表替えの仕事をする時に、おそらくもっと丁寧に畳表を扱うと思います。そして畳表が御注文頂いた方のお宅に「畳」として納まるまで、大袈裟かも知れませんが、我が子を嫁に出すようなそんな親近感を持つことでしょう。きっと生産者の方も同じ思いなのではないか.....と。
 店に帰ったら、一度じっくり畳表を見てみようと思いました。


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 私たちに課せられた二日間で3本ずつの植え付けを、何とかやり切る事ができました。福本さんの藺田も、予定通り今日中には植え付けが完了します。鏡君もやり切った表情です。用水で足袋の汚れを洗い落とします。
 「夏と今回とどっちがきつかった?」私は鏡君に聞きました。「うーん、甲乙付けがたいね。夏は暑くて体力を消耗するし、とにかく朝が早いから睡眠不足。今回は延々と続く株分けと、植え付けは腰痛との戦い。でもやっぱり夏かな。」
 本当に甲乙が付けられません。どちらも大変な作業だからです。予めこのキツさが分かっていたら、恐らく来ていないかも知れません。でも、私はこの「植え付け」をどうしても体験したかった。来て良かった、心からそう思いました。


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 福本さんの家で昼食です。森野名人や助っ人の人も、皆で食事をいただきました。熊本の農家にお邪魔すると、いつも思う事があります。それは奥さんが皆しっかりしていらっしゃることです。気持ちが大きいというか、昔で言う「肝っ玉かあさん」みたいな感じです。八代の男性が羨ましいです。
 下永さん、そして福本さんご家族には、二泊三日大変お世話になりました。鏡君は熊本産地で知り合った友人です。いつまた会えるか分かりませんが再会を約束し、鏡君は山形へ、私は岐阜への帰途に着きました。私たちの植え付けた藺草を、今年の夏にまた見に帰って来たいと思っています。


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